横浜市港北区と鶴見区で12月上旬から、段ボールや古雑誌、古新聞など「古紙」の回収が停止している。市が市内全域で導入している「資源集団回収制度」で古紙回収を担う3事業者が同時に業務を停止したためで、一時は市内全18区のうち11区で停止した。大量の古紙を引き受けてきた中国が輸入制限に転じたあおりを受けた格好だ。古紙の廃棄が特に増える年末を迎え、影響は深刻だ。市は年内には全ての区で再開にこぎ着けたい考えだが、先は見通せない。
市資源循環局によると、事業を停止した三つの古紙回収事業者は、自治会や町内会、子供会、マンション管理組合などの地域団体と契約を結び、回収作業を委託されていた。港北区では8団体、鶴見区では2団体で回収の新たな担い手が決まっていない。
市は、古紙の回収が止まっている地域では自宅などで保管するよう求めているが、集積所に放置される段ボールや雑誌などの古紙が出始めている。自治会などは放置された古紙に「お持ち帰りいただけますでしょうか」と張り紙で注意を促すが、持ち帰らないままの状態が続いている。
年末にかけて大掃除の時期と重なり不要となる古紙が増加するほか、放火などの被害を不安がる声も市民から上がる。市の担当者は「事業者と地域団体の民間同士の契約に基づく制度だが、導入した市の責任でもある」とし、「地域で古紙の回収が必要になった際は、各区の資源循環局の事務所に相談してほしい」と案内を始めた。
鶴見区で暮らす女性会社員(53)の自宅ではインターネット通販で使った段ボールが大量にたまり続けており、回収の見通しが立たないことに困惑している。「古紙の回収がないことで、生活に支障が生じ始めている。一体、何のために支払っている市民税なのかという疑問が湧く。市はカジノを推進するよりも最低限の行政サービスを充実させるべきだ」と訴えた。
◆資源集団回収制度 自治会などの地域団体が古紙などの収集を担当する制度。横浜市では1983年、市内全域で開始した。リサイクルすることで換金するほか、市から回収量に応じ1キロ当たり3円の奨励金が交付され、活動資金として役立てられている。市内の地域団体は制度発足当初から2倍以上の約4400団体になり、年間に集められる古紙類は計約14万6千トンに及ぶ。
神奈川新聞社
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